一般財団法人日本実演芸術福祉財団が設立しました
芸団協
2025年7月25日
この度、公益社団法人日本芸能実演家団体協議会、公益社団法人日本演劇興行協会、一般社団法人緊急事態舞台芸術ネットワーク、一般社団法人日本舞台技術スタッフ団体連合会の4団体が発起人となり、創設賛同団体10団体とともに、「一般財団法人 日本実演芸術福祉財団」を設立しました。

https://jpawf.or.jp/
この団体は、実演芸術分野の事業者・興行主(発注者側)と、実演家・スタッフ(受注者側)の団体とがタッグを組み、総合的に実演芸術分野に携わる人々の福祉に取り組む、業界初の団体です。
人手不足の深刻化、働き方やハラスメントの問題、多様な実演芸術の創造と継承のサイクルの危機など、業界が抱える問題は一層複雑に絡み合っています。
本団体は、業界全体で実演家・スタッフを支える互助プラットフォームとして、実演芸術活動を「仕事」として安心して安全に続けていくための社会保障の基盤をつくることを目指し、様々な取組を行ってまいります。
取組のひとつとして、まずは既存の国の制度である「労災保険特別加入」(芸能関係作業従事者)の業務に着手します。
財団のもとに、労災保険の加入手続きを行う労災センター(仮称)を設置し、本年10月ごろから業務を開始する予定です。
実演芸術に携わる皆様が万が一に備えられるよう、本制度の周知を図るとともに、複雑な手続きをできるだけ簡素化し、加入促進を目指します。
詳細は、業務開始の準備が整い次第、財団ウェブサイトにてお知らせします。
このほか、 実演芸術の担い手の活動環境の整備、福祉の向上、業界が抱えるさまざまな課題解決に向けて、調査研究や提言を行っていく予定です。
実演芸術の担い手が、「仕事」として誇りをもって続けられるように。
才能あふれる若い人材が、魅力のある「仕事」としてこの業界に参加できるように。
日本実演芸術福祉財団の今後の取組に、ぜひご注目ください。

【報道】
■NHK(2025年7月23日付) 「労働環境の整備へ 俳優や音楽家など支援する新財団立ち上げ」
■朝日新聞(2025年7月23日付) 「舞台・音楽業界の労働環境改善へ労災加入など支援 職種越え団体設立」
■毎日新聞(2025年7月23日付) 「『実演芸術』業界の福祉向上へ 労災加入など支援する互助組織が設立」(Yahoo!ニュースより)
■東京新聞(2025年7月31日付) 「日本実演芸術福祉財団設立」
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芸団協では、1965年の発足時から、芸能実演家の権利擁護と福祉向上を掲げて、さまざまな取組を行ってきました。
とくにコロナ禍を機に、2022年からは「芸術家のための社会保障に関する研究」に取り組み、諸外国の制度や、現行の日本の社会保障制度の研究を続けています。
そして2024年4月には、研究をふまえ、日本における「『芸術家のための互助の仕組み』に関する中間提言」を発表し、「業界全体で支える互助プラットフォーム」を提言しました。
これを実現するべく、関係団体との議論を深め、理念と趣旨に賛同いただいた団体とともに、一般財団法人日本実演芸術福祉財団として、いよいよ動き出しました。
財団として、まず労災保険特別加入業務に着手する理由のひとつには、この制度の認知度が低い現状があります。
2021年4月より、舞台や映画・映像で活躍する実演家・スタッフの方々も、仕事の仕方や仕事内容によって、個人で労災保険に加入することができるようになりました。
しかし、芸団協が今年3月に実施した「芸能実演家・スタッフの活動と生活実態調査」アンケートでは、実演家の70%以上が労災保険特別加入制度を「知らない」と答えており、業界内での周知も十分ではない状況が明らかになりました。
芸団協としても、日本実演芸術福祉財団と連携し、まずはすぐにできる「万が一の備え」として、労災保険特別加入の周知と加入促進にも協力していきます。