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【調査研究】第11回「芸能実演家・スタッフの活動と生活実態調査」結果速報を公開

芸団協

2025年6月09日

この調査は、公益社団法人日本芸能実演家団体協議会(芸団協)が、1974年から5年ごとに実施しているもので、2024年度に50年目、第11回調査を実施しました。
2025年に60周年を迎える芸団協ですが、その大半はこうした調査研究の歴史であります。
とくに実態調査は、俳優、声優、歌手、演奏家、舞踊家、落語家などの実演家や、音響、照明、舞台監督などのスタッフ、演出家、制作者など、多様な会員組織を正会員に持つ芸団協ならではの調査です。調査手法の変更などもあり、単純比較ができない部分はありますが、調査対象範囲を「芸団協正会員団体に属する人」と限定することで、ある程度の経年変化を捉えることができます。
そして、観客からは見えない活動実態を明らかにするとともに、活動環境における課題や問題意識をあぶり出してきました。

 

しかし、50年にわたる実態調査のなかでも、第10回(2019年度)から第11回(2024年度)の5年間は異質と言えます。2019年は、ライブ・エンタメ市場は過去最高を記録するまでに成長し、東京オリンピック・パラリンピックの文化プログラムも全国で開催され、実演芸術分野は活気に満ちていました。
そうしたなか、新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的蔓延という、芸団協の調査史上にも類を見ない未曽有の事態を経験することとなりました。日常的なレッスンやお稽古、舞台公演や映画・テレビ等のメディアの制作現場も様々な変化を余儀なくされ、これらが実演家・スタッフの活動に多大な影響を与えたことは言うまでもありません。今回の調査では、これを踏まえての現状把握に努めました。

また、2021年に労災保険特別加入制度の対象に芸能関係作業従事者が加わり、2023年にはインボイス制度が開始、2024年にはフリーランス法が施行されるなど、社会的な変化もありました。これらが芸能・芸術活動に及ぼす影響も把握できるよう設問を検討してきました。

なお、第10回調査まではアンケート用紙を郵送する手法でしたが、第11回調査はオンライン回答(インターネットアンケート)に手法を変更しました。実演家の回答率が前回調査より大幅に下がったことは、アンケート手法の変更が影響している可能性も考えられます。

 

この度公開する結果速報は、集計結果を実演家編スタッフ編それぞれにまとめています。
さらに実演家編は、「伝統演劇」「現代演劇」「邦楽・伝統音楽」「洋楽・現代音楽」「邦舞」「洋舞など」「演芸」「メディアなど」「演出・制作・その他」の9つのジャンル別集計も示しています。ご自身の活動ジャンルの結果、他ジャンルとの比較など、ぜひご覧いただきたいと思います。


【結果速報】

実演家編(PDF)(4MB)

スタッフ編(PDF)(3MB)


【結果速報のポイント】

  • 回答者の平均年齢 実演家51.7歳 スタッフ53.4歳
  • QA_3   活動年数、報酬を得られるようになるまでの平均年数 
  • QB_5   昨年1年間の活動別収入の割合/得ている報酬の形式
  • QC_1b インボイス適格請求書発行事業者登録の状況 
  • QC_5 フリーランス法関連 仕事を依頼される際の知らされ方
  • QD_1 仕事の機会の増減(2019年と比較して)
  • QD_2 芸能活動からの収入増減(2019年と比較して)
  • QD_4 仕事や環境に対する考え方  
  • QD_5 10年後も続けていたいか
  • QD_10 労災保険特別加入制度の認知度


実態調査は、芸団協正会員団体の会員(個人)、および会員(団体)に所属している個人を対象としたものです。
調査の意義を理解し、責任と使命感を持って、対象者の抽出やアンケート案内の送付、周知にご協力いただいた会員組織の役割は非常に大きいといえます。あらためて、ご協力に感謝申し上げます。

 

しかし、協会や連盟などの会員組織に属していない実演家・スタッフは調査対象に入っていないため、この調査結果が実演芸術業界の全体像を把握しているとは言いきれません。
会員組織に属さない方々にも、この調査結果が自分たちの現場感覚に沿ったものかどうか、ぜひご覧いただきたいと思います。そして、実演芸術分野に携わる様々な方々と、今後の議論を広げる種になればと願います。


第11回「芸能実演家・スタッフの活動と生活実態調査」協力団体一覧

本調査のアンケート実施に際して、芸団協正会員団体のうち、以下の団体および傘下の芸術団体等にご協力いただきました。

アンケートにご回答くださった方々にも、あらためて御礼申し上げます。

計53団体 ※各団体の会員団体(劇団、バレエ団、楽団、スタッフ会社等)は省略

一般社団法人 全国専門人形劇団協議会
一般社団法人 日本演出者協会
一般社団法人 日本芸能マネージメント事業者協会
公益社団法人 日本劇団協議会
日本児童・青少年演劇劇団協同組合
日本新劇製作者協会
日本人形劇人協会
公益社団法人 日本俳優協会
協同組合 日本俳優連合
公益社団法人 能楽協会
一般社団法人 関西常磐津協会
一般社団法人 義太夫協会
清元協会
新内協会
特定非営利活動法人 筑前琵琶連合会
公益社団法人 当道音楽会
常磐津協会
一般社団法人 長唄協会
名古屋邦楽協会
公益社団法人 日本小唄連盟
公益社団法人 日本三曲協会
日本琵琶楽協会
一般社団法人JDDA(Japan Dance Music & DJ Association)
公益社団法人 日本演奏連盟
公益社団法人 日本オーケストラ連盟
日本音楽家ユニオン
一般社団法人 日本歌手協会
一般社団法人 日本作編曲家協会
一般社団法人 日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ
パブリック・イン・サード会
特定非営利活動法人 日本レコーディングエンジニア協会
特定非営利活動法人 レコーディング・ミュージシャンズ・アソシエイション・オブ・ジャパン
一般社団法人 現代舞踊協会
一般社団法人 全日本児童舞踊協会
公益社団法人 日本バレエ協会
一般社団法人 日本バレエ団連盟
公益社団法人 日本舞踊協会
一般社団法人 日本フラメンコ協会
一般社団法人 日本ベリーダンス連盟
公益社団法人 上方落語協会
講談協会
太神楽曲芸協会
一般社団法人 東京演芸協会
公益社団法人 日本奇術協会
一般社団法人 漫才協会
一般社団法人 落語協会
公益社団法人 落語芸術協会
公益社団法人 浪曲親友協会
一般社団法人 沖縄県芸能関連協議会
一般社団法人 雅楽協会
公益社団法人 日本照明家協会
公益社団法人 日本舞台音響家協会
一般社団法人 日本舞台監督協会