芸団協とは

芸団協とは

俳優、歌手、演奏家、舞踊家、演芸家などの実演家や実演芸術分野のスタッフ・制作者等の団体を正会員とする公益社団法人です。正式には、日本芸能実演家団体協議会(略称:芸団協(げいだんきょう)といいます。

実演家のいろいろな権利を確立し、社会的な地位の向上をはかるために、1965年に設立されました。時とともに、実演芸術をめぐる環境は大きく変化してきましたが、芸団協は「芸能が豊かな社会をつくる」ことを信じ、文化芸術の役割や価値がより豊かに位置づく社会の実現に寄与することを目的としています。

芸団協は現在、文化庁長官の指定を受け、著作権法で実演家に与えられた報酬請求権等の集中管理を行う事業(「実演家著作隣接権センター(CPRA)」)と、「芸能花伝舎」を拠点に、多様な実演芸術の創造を支え、その魅力と価値を広める実演芸術振興事業を二つの柱としています。また、実演芸術を取り巻く課題を明らかにし、より良い環境を整えるための調査研究・政策提言事業を積極的に行っています。

これらの活動を通して、社会のなかに実演芸術を核とした好循環を生み出し、多くの人が演劇、音楽、舞踊、演芸、伝統芸能など、多種多様な実演芸術の魅力を存分に享受できる社会づくりに取り組んでいます。

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文化芸術が豊かに位置づく社会

会長ご挨拶

3年余に及ぶコロナ禍が明け、「正常」に移り行く中、この先の実演芸術の継続的な発展に向けて様々な課題が山積しております。その一つが、実演家の活動環境の改善であります。コロナ禍を機に、実演家は平時から仕事が不定期であり、不安定な活動基盤にあることが改めて明るみとなり、社会的課題として取り上げられる機会が多くなりました。
芸団協は設立当初から芸能実演家の地位向上を掲げ、長年に亘り社会保障について取り組んで参りました。特に2022年度からは芸術家の働き方の特徴を踏まえた制度のあり方を研究し、「芸術家のための互助の仕組み」を提言するに至りました。
日本の豊かな文化芸術を国内外で展開していくためには、担い手の活動環境の整備改善は重要課題であり、その実現は数多の実演家団体から成る芸団協が果たすべき役割の一つとして引き続き取り組んで参る所存であります。

また、昨今の技術革新は目覚しく、実演を行う場や利用方法も大きく変化しております。実演家の活動をも脅かしかねない生成AI等の新たな問題は、世界的な関心事となっています。30周年を迎えた実演家著作隣接権センター(CPRA)設置以前より、芸団協は実演家の権利保護を強く訴えて参りました。現代に対応する権利保護のために、海外における法整備等の状況も注視しながら、これまでにも増して積極的な提言、要望等を進めていかねばなりません。
実演芸術振興事業においては、各事業も賑いを取り戻し、生の体験の大切さを実感しております。一方で、芸能花伝舎開場20周年を控える中で、この間の事業を評価、検証し、この先に芸団協が取り組むべき実演芸術振興のあり様を見直す時機にあるように思います。

そして鑑賞機会の充実、豊かな創造環境のためには、各地の文化施設も重要な役割を果たします。しかし、我が国の国立劇場再整備問題に当たっては、実演芸術の価値が蔑ろにされているような不安を抱いた実演家も多いのではないでしょうか。我々も実演の価値、劇場の存在意義を伝える努力を重ね、政官関係者や国民の理解を求めていかねばなりません。
2025年に芸団協は設立60周年を迎えます。長年の研究や取り組みの蓄積を以て、様々な社会の変化にも対応しながら、諸課題の解決に向けて歩みを進めて参ります。実演芸術の益々の発展に向けた好機の節目となるよう、会員団体、権利者団体の方々との連携のもと、役職員一丸となって取り組む所存でございます。引き続き、ご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

令和6(2024)年7月

公益社団法人日本芸能実演家団体協議会会長・能楽師(人間国宝)
野村萬

撮影:武藤奈緒美