アーツマネジメント講座2016　講座⑦『観客をつくり出す②～告知・チケット販売』11月8日レポート

講座6に続いて、講座7も「観客をつくり出す」がテーマ。
この回では、広告の現状について知るとともに、限られた資源（人的、経済的）で、いかに多くの人をチケット販売というゴールに向けて誘導するかを考えます。ロングランプランニング㈱代表の榑松大剛氏を迎えて、おもに東京を中心に事業を展開している「カンフェティ」の事例を紹介しながら、“沖縄ならでは”の有効な方法を受講者と一緒に見つけていきます。

・カンフェティの事業

カンフェティは、「エンタテインメントを、もっと身近なものに。」というコンセプトのもと、芸術団体のサポート業務を主に、チケット販売、広告、印刷・デザイン、チラシ折込・配布、旅行などの5事業を展開しています。チケット販売では、ポイントや無料託児、チケットを購入することでワクチン購入の募金が出来るなど、現在約53万人いる会員に向けて、独自のサービスも。また興業元（芸術団体）に対するサービスとして、委託販売や直接販売、そして業界では画期的なキャンセル料を徴収できる取り置き販売システムなど、興業元の立場に立った数々のサービスを導入しています。

広告においては、公演情報誌「カンフェティ」を毎月10万部以上発行。公演情報フライヤー「TICKETS GO GO」、メールマガジン「カンフェティ通信」とも連動させながら、不特定多数のユーザーに情報を届けるプッシュ型広告を用いているといいます。

シアター情報誌「カンフェティ」は、公演情報の収集やチケット購入を目的に、熟読率の高いフリーペーパー。劇場や映画館、美術館、書店など都内1500ヶ所以上での配布のほか、カンフェティ会員への配送も行っています。
この他、チラシデザイン・印刷など、低価格での興業サービスを提供し、興業元の負担軽減につなげています。
また、チラシの折り込みや配布は、福祉施設が運営している別業者に依頼し、新たな雇用を創出するなど、会社として社会的意義のある活動にも取り組んでいます。

・広告の現状

世の中の「広告」の位置づけについて。現在、日本では6兆1710億円、GDP比1.24％が広告費として使われているといいます（電通推定「日本の広告費」2015年より）。なかでも、前年比110.2％で伸びているのがネット広告です。このネット広告を押さえることが、今後は大変重要になってくるといいます。

ネット広告の中には、記事と広告を溶け込ませ、ユーザーに極力ストレスを与えずに情報を届ける「ネイティブ広告」や、検索エンジンにキーワードを入力するとそのキーワードに関連性の高い広告が表示される「リスティング広告」などがあります。非常に細かいターゲッティングが可能で、口コミによる拡散を狙いたい場合にも使用されるTwitter、Facebook、Instagram上に表示する「ソーシャルメディア広告」、ターゲットを限定した配信が可能な「DSP広告」。YouTubeやニコニコ動画等にテレビCMのように一定時間広告動画を表示する「動画広告」など、様々な種類があります。特に、ネイティブ広告、ソーシャルメディア広告、DSP広告は、ユーザーの7割近くがスマートフォンから広告を見ており、ますますスマホ対策が必要になりそうです。

・グループでの意見交換

講座の後半は、4〜5名ずつに分かれ、沖縄の広報ツールについて、自身の体験を話し合うグループディスカッション。
受講者からは、次のような意見がありました。

・インターネットで情報が氾濫している現在でも、沖縄では口コミや知人の紹介が有効
・若い世代にはSNSが非常に有効だったが、年齢層が高いイベントにはラジオの効果が大きかった
・沖縄は活動が盛んだが、チケットは出演者・関係者による手売りが圧倒的に多い
・シニア層の観客が多いということもあり、新聞広告の効果が高い
・沖縄では、伝統芸能だけでなく、音楽イベントやフェスなど多くのイベントが行われているが、その情報をまとめて見られるような媒体が不足していると感じる

また、カンフェティのような広告やチケット販売などを一括して行うようなシステムを沖縄でも構築していけたら、という声もありました。

最後に、榑松氏からは、「広告というのは面倒臭くて、つい手を止めてしまいがち。しかし、『広告は未来への投資』。様々な広告の方法に目を向けて、自身の芸術団体の未来を広げていってほしい」と締めくくられました。

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講座7　観客をつくり出す②～告知・チケット販売

【日時】平成28年11月8日（火） 18:30～20:30
【講師】榑松大剛（カンフェティ／ロングランプランニング（株）代表）
【会場】沖縄県男女共同参画センター　てぃるる