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2017.03.31

アーツマネジメント講座2016 講座⑤『公演のための体制づくり~外部資金導入のために』10月28日レポート

10月28日は、『公演のための体制づくり~外部資金導入のために』と題して、石田麻子さんにお話しいただきました。
芸術団体にとって最も重要な課題である資金確保について、国内外の事例を取り上げながら、具体的なファンドレイジングの在り方、助成金獲得のための申請時のポイントなどを教えていただきました。

まずは、資金確保の現状について。
舞台芸術制作における収入構造を見てみると、その国の文化政策が見えてくるといいます。
イギリスにおける2つの事例を紹介。ロイヤル・オペラハウス(Royal Opera House)の自主財源は、ACE(ArtsCouncil England)からの補助金の割合が23%で、それほど公的資金による助成が多くないことが分かります。また、年々その割合は減っていて、代わりにグッズ販売などによる「その他の収入」が増えてきているのだそう。
また、グラインドボーン音楽祭(Glyndebourne Festival Opera)では、入場料収入の割合が61%と大変高く、ブランディングの成功によって、企業からの協賛などファンドレイジングの割合も大きいのです。このような成功例は世界的にもなかなか見られませんが、自分たちの芸術の価値を言葉にして説明し、ステークホルダー(=観客・住民・企業・行政などの利害関係者)と関わることが、資金確保のためにいかに重要かという事がよく分かります。

日本の場合は、まだまだ財源において公的資金を導入する必要があるのが現状です。私たちも自分たちの芸術の価値は何か、常に言葉にして説明していく必要があり、自分たちの組織をブランディングしていくための戦略が必要です。

また、ファンドレイジングの在り方について。
芸術団体は自らの強みを分析し、自主事業に他の組織をどう巻き込んでいくか、常に考える必要があります。
何のために協賛・後援をとるのでしょうか?協賛にも、金銭面での協賛、製品による協賛、人的協賛、サービスによる協賛など様々な形があります。子どものための公演にお菓子(製品)を提供してもらう形の協賛や、アーティストの移動の際の航空会社による座席の提供(サービス)などの事例もあるそうです。

また、後援を得ることにも目的があります。外務省や文化庁など公的機関からの後援は、その芸術団体の信頼の証しにもなり、宣伝効果のほか、企業や影響力のある人脈とのタッチポイントが増えるという利点が挙げられます。自分たちの芸術団体・芸術活動に合う協賛や後援の種類を知り、ファンドレイジングを考えていくことが重要です。

そして、資金獲得の方法として、助成金もあります。助成金を受けるためには、まず助成金の種類を知らなければなりません。公的助成や民間助成でも、あるジャンルに特化したものや、地域限定のもの、劇場・音楽堂等の相互連携や協働を促進するためのネットワーク構築支援を目的とするものなど、実に多種多様です。
自分たちの事業内容・活動内容とマッチするかどうかを、よく精査し、最も適した助成金にエントリーすることが大切です。
その際に大事なことは、「相手を知る」ということ。助成金を出す側(支援する側)が、何を求めているのか、客観的に読み解き、適格に判断することが重要だといいます。

 

講座の最後には、日本芸術文化振興会のプログラム・オフィサーとして助成審査にも携わっている石田氏から、平成29年度芸術文化振興基の助成金申請を例に、申請書類の書き方、募集要項、審査基準、申請書の項目の読み込み方など、時間をめいいっぱい使って学びました。

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講座5 公演のための体制つくり~外部資金導入のために

日時】平成28年10月28日(金)
講師】石田麻子(昭和音楽大学教授 /オペラ研究所所長)
会場】沖縄県男女共同参画センター てぃるる

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