2014.09.18
アーツマネジメント連続講座 特別講座『沖縄芸能史を学ぶ特別集中講座』9月1日・2日レポート
去る9月1日と2日、アーツマネジメント連続講座の特別講座として、「沖縄芸能史を学ぶ特別集中講座」を実施しました。
この講座は、沖縄の文化芸術をさらに発展させていくためには沖縄の芸能の歴史やその固有性を深く理解・共有することが重要であると考え企画したものです。琉球古典音楽、琉球舞踊、組踊、そして沖縄ポップスと、沖縄の芸能を体系的に学ぶ機会は貴重とあって、分野を問わず多くの方が受講されました。
今回は沖縄県立芸術大学(以下、県立芸大とします)の協力のもと大講義室をお借りし、 2日間にわたって計4名の先生にご登壇いただきました。
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9月1日(月)
16:00-17:30 沖縄の古典芸能1「古典音楽の歴史と現在」 講師:金城厚(沖縄県立芸大教授)
17:40-19:10 沖縄の古典芸能2「古典舞踊の歴史と現在」 講師:花城洋子(沖縄県立芸大教授)
19:20-20:50 沖縄の古典芸能3「古典演劇(組踊)の歴史と現在」 講師:大城學(琉球大学教授)
9月2日(火)
16:00-17:30 沖縄の大衆芸能1「雑踊、沖縄歌劇、沖縄芝居」 講師:大城學(琉球大学教授)
17:40-19:10 沖縄の民俗芸能 講師:久万田晋(沖縄県立芸大教授)
19:20-20:50 沖縄の大衆芸能2「沖縄新民謡~沖縄ポップ」 講師:久万田晋(沖縄県立芸大教授)
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1日目の1コマ目は、県立芸大の金城厚先生に、沖縄古典音楽の歴史についてお話しいただきました。
沖縄の古典音楽を語る上で欠かせない「三線」の歴史や構造に始まり、歌三線の内容や琉球古典音楽の展望など、90分ではとてももったいないほどたくさんのお話をしてくださいました。
続く2コマ目は、同じく県立芸大の花城洋子先生に「古典舞踊の歴史と現在」と題したお話をしていただきました。
世界の舞踊史の中における琉球舞踊の位置づけという新しい視点の提示から、国立劇場おきなわ開場が琉球舞踊にもたらした成果と課題、近年の琉球舞踊の海外公演数など、普段なかなか接することのない客観的な位置からの考察に、たくさんの質問が集まりました。
そして、1日目の最後は、琉球大学の大城學先生による「古典演劇の(組踊)の歴史と現在」について。
組踊以前の演劇から組踊の誕生、玉城朝薫の登場、さらに朝薫以降の組踊に至るまで、沖縄演劇300年の歴史を文字通りドラマティックにお話し下さいました。「伝統芸能としての組踊」と「現代の創作組踊」は車の両輪でどちらも不可欠、という先生のお言葉に強い印象を受けた受講生も多かったようです。
翌2日目の1コマ目は、昨日に続き大城學先生による「雑踊、沖縄芝居(歌劇、方言せりふ劇)」についての講座。
組踊や琉球舞踊の歴史については書籍などで目にする機会もありますが、沖縄の「大衆芸能」の歴史について研究の第一人者から直接教えていただける機会は非常に珍しかったのではないでしょうか。講座終了後のアンケートでも大変好評を博しており、第二弾を望む声も多く聞かれました。
2コマ目は、県立芸大の久万田晋先生が「沖縄の民俗芸能」についてお話し下さいました。
豊富かつ貴重な資料映像を参照しながら、沖縄の神祭りや女性の集団舞踊、エイサーなどがどのようにして神事から芸能へ発展してきたのか、その道程を学びました。
3コマ目は、引き続き久万田先生による「沖縄の新民謡~沖縄ポップ」。
次々と音源を切り替えながらお話ししてくださる様子は、さながらディスクジョッキーのようでした。沖縄の音楽界初のプロデューサー普久原朝喜の登場から、新民謡最大のヒット曲「芭蕉布」の誕生、そして沖縄フォークからモンゴル800など現代へ至る展開など、まだまだ聞いていたいとても楽しい講義でした。
ご協力いただきました沖縄県立芸術大学、そして2日間の構成と進行を務めてくださいました久万田先生に感謝いたします。