2016.06.10
アーツマネジメント研修 研修修了者からのコメントを掲載
平成26年度からはじまったアーツマネジメント研修派遣。
現在、平成28年度の研修者の募集を行っています。(締切:6月24日)
実務経験を積み、新たに人脈を広げるチャンス!
沖縄でこれからますます活躍するために、研修に挑戦してみませんか?
今までとは違った視点から、沖縄の実演芸術の未来が見えてくるかもしれません。
・研修者募集サイト
この研修派遣制度の一期生となった平成26年度研修者7名から、研修内容や研修後の活動についてコメントをいただきました。
より詳しい内容は、以下の研修修了報告会(2016年2月2日実施)のレポートをご覧ください。
また、今後の沖縄において、こうした人材の活躍の場が広がることを期待しています。
・【研修報告会レポート】報告:宮城さん/大崎さん/吉田さん
・【研修報告会レポート】報告:喜舎場さん/大野さん/北住さん/上原さん
・【研修報告会レポート】パネルディスカッション:派遣先(東京芸術劇場/日本舞踊協会/青年劇場)、沖縄県内の派遣元
宮城 紫乃さん
東京芸術劇場の「演劇事業」、「広報・宣伝/票券」、「音楽事業」の現場で約4か月ずつ、あわせて1年間の研修を行いました。
劇場におけるチケット販売や招待状のあり方、突発的な事故での公演中止の対応などは、沖縄で公演を行う上でも大いに参考になりました。さらに音楽事業では、全国共同制作オペラのツアーに帯同したことで、現場スタッフとしての経験値を高め、各劇場との人脈もできました。
これらの経験を生かし、全国共同制作への参入や沖縄県における制作のあり方を課題として、2016年4月から沖縄県文化振興会に文化専門員として復職し、業務にあたっています。
大崎 正和さん
これまで声楽家として音楽活動をやってきましたが、自分のスキルを見直し、新しいことを吸収するために研修派遣に応募しました。
これまで劇場を借りる側だったのが、研修先の石川県立音楽堂では、貸す側としての業務も知り、また音楽堂を拠点に活動するオーケストラ・アンサンブル金沢の公演制作にも携われたことで、視野が広がりました。
3か月の研修終了後は、福祉と保育の専門学校「沖縄中央学園」で音楽の教鞭をとるほか、「沖縄ブライダルモード学園」でアーツマネジメントに関わる講座も担当。沖縄県の人材育成に貢献します。
吉田 真和さん
琉球舞踊家として活動する中で、沖縄の伝統芸能を継承していく実演家が、将来的に「職業」として成立するには、実演家組織の運営や普及活動などマネジメントが必要だと思い、研修を志望しました。
横浜能楽堂では、ターゲットを明確にした目的別の企画・事業展開やチケットセールスを間近にみることができて勉強になりました。公益社団法人日本舞踊協会では、文化庁や東京都など助成金を活用しての事業に携わったことで、組織があって資金調達やブランディングなどマネジメントにあたる専門人材がいることの重要性を痛感しました。
計5ヵ月の研修を終え、現在は個人事業主として、琉舞道場を引き継ぎ、琉球芸能と観光産業のマッチングを考え、琉球舞踊の提供、稽古の見学と体験、衣裳レンタル事業等を進行中です。
喜舎場 梓さん
劇団TEAM SPOT JUMBLEの制作をしていますが、沖縄県内では演劇公演を行う団体が限られていることもあって、劇団運営や公演制作のノウハウなどを学ぶために研修に臨みました。
東京にある劇団青年劇場では、都内のスタジオや劇場での公演に加え、全国巡回公演や学校公演など、様々な現場での実地研修ができて、とても参考になりました。
4か月の研修で得た知識とネットワークをヒントに、沖縄に戻ってからは、稽古場で「Keikobar」という公演を2か月に1度行ったり、助成金を得て「演劇を活用したワークショップ ファシリテーター養成講座」を実施しています。
大野 順美さん
文化施設に勤務経験があり、現在は舞台制作会社代表を務めていることから、民間組織の運営や経営について学びたいと思い、東京の老舗劇団、文学座で約半年間の研修を受けました。
組織経営や俳優マネジメントについて、現場実務に加えてお話をうかがえて、大きな財産になりました。また、企画段階からの稽古、公演までの一連の進行に携わって、作品創造の現場を間近に見ることができたのも、とても参考になりました。
研修修了後は、日本ブラジル修好120周年記念の琉球舞踊公演を主催しブラジルで3回公演を行い、また日本大学芸術学部において組踊ワークショップを行いました。琉球芸能の普及に加え、各組織、別業界との連携を進めていきたいです。
北住 景子さん
秋田県で芸術とリゾートの共演を打ち出し、旅館や劇場を一体とした「たざわこ芸術村」を運営している劇団わらび座で3か月研修しました。
2つの常設劇場の運営、舞台制作、全国ツアーへの同行など様々な実務に携わりました。特に営業部でのアプローチの仕方がとても勉強になって、クラウドファンディングのプログラム作りでも役立ちました。現代版組踊「肝高の阿麻和利」の衣裳・小道具の補修のため、目標80万円に対し100万円近くの資金を得ることができました。
南城市の「ガンガラーの谷」での公演では、高価格(7,000円・5,000円)のチケット完売と遅刻者を減らすことにも成功。今後もトライ&エラーを重ねながら、興行として成立できる公演をつくっていきたいです。
上原 航一さん
旅行会社沖縄ツーリストに勤務していることから、観光素材として伝統芸能を鑑賞できるように発展させたいと研修派遣に応募しました。
独立行政法人日本芸術文化振興会(国立劇場)では、歌舞伎や文楽の集客方法やセールス面を中心に研修し、公民館や観劇サークル、学校への営業、地方の旅行会社や都内宿泊施設へのDM発送、鑑賞教室の営業などその範囲の広さを実感しました。公益財団法人淡路人形協会 淡路人形座では、観光客を対象に、近隣の観光施設との協力や、ホテル・旅行会社への営業活動を研修しました。
伝統芸能も沖縄観光資源のひとつに挙げられるよう、研修のネットワークも生かし発展させたいです。