1「劇場プロジェクト発足」(第一次 2002年5月〜8月)
芸団協では、2001年5月、「芸術文化基本法(仮称)の制定および関連する法律の整備を――21世紀、創造的な社会の構築のために――実演家からの提言(中間まとめ)」を公表し、その中で「人々が、年齢や性別、居住する地域などにかかわらず、等しく、豊かな芸術文化体験をできるよう、文化における参加の機会が保障され」るように、「芸術文化機関」を法律で位置づけることを提起しました。
2001年12月に、文化芸術振興基本法が公布・施行されたとき、芸団協の提起が反映させられた形で基本理念が定められたことを評価し、その提起をさらに具体化していくため、2002年5月、劇場プロジェクト(第一次)を発足させ、議論を重ねました。そして、文化審議会で「文化芸術の振興に関する基本的な方針」(第一次)の策定に向けて精力的にヒアリングが行われている時期に並行して検討を重ね、「基本方針」に対する意見のひとつとして、「劇場」を、国民が等しく舞台芸術を享受できるようにするための社会的装置として整備し位置づけていくため、法的基盤を整える必要性があることを訴えました(2002年9月)。
劇場プロジェクト(第一次)委員
[鈴木忠志(演出家)/森塚 敏(俳優)/吉井澄雄(照明家)]
『劇場事業法(仮称)の提案――舞台芸術の振興のために「劇場」の基盤整備を』(2002年8月)
もくじ
1.提案の趣旨
2.劇場事業法(仮称)の要点
3.検討の論点
(1)「劇場」を再定義する
(2)公立文化施設の課題:「公の施設」をめぐって―文化施設としての専門性の欠如
(3)公立文化施設の課題:運営組織について
(4)劇場のあるべき姿:創造の専門家らの就労の場として
(5)劇場のあるべき姿:専門家の養成・研修の実践の場として
(6)劇場のあるべき姿:コミュニティの中枢として
−教育普及の仕掛けと観客育成の役割
4.議論の背景【参考資料】
全文は、下記からダウンロードできます
http://www.geidankyo.or.jp/02shi/pdf/gekijo.pdf
2「劇場活性化プロジェクトでの検討」(第二次 2003年1月〜3月)
第一次劇場プロジェクトで示された方向性をもとに、2002年度、文化庁委嘱調査研究として「劇場・音楽堂」の充実に向けて劇場・ホールの望ましいあり方を議論するとともに、基盤整備にかかわる法的課題の整理を行うため、「劇場活性化プロジェクト」を発足させました。
劇場活性化プロジェクト委員(第二次)
[小川幹雄(新国立劇場・技術部)/草加叔也(空間創造研究所)/高萩宏(世田谷パブリックシアター)/渡辺弘(Bunkamuraプロデューサー)] 肩書きはいずれも当時
このほか、中劇場協議会の関係者をはじめ多数の劇場関係者からヒアリングに対して、また、社団法人全国公立文化施設協会からは、公立文化施設の現状に関するデータ提供の協力をいただきました。
報告書は、「文化芸術の振興に関する基本的な方針」(第一次)と、第一次劇場プロジェクトの検討を踏まえ、<社会的装置としての劇場>が果たすべき役割を明確にし、<劇場整備>には3つの方向性があるという認識からスタートしました。
@従来の東京など大都市圏中心のメディアの構造を利用しつつ、舞台芸術の配給構造をあらためて維持・発展させるための方策を検討し実施していく。
A全国に存在する多くの施設、組織を活性化するための新たな方針を定め、奨励していく。
B社会経済単位を配慮しつつ、「拠点となる劇場」を育て整備していく方策を実施する。
そのうえで、@の方向を加味しつつ、主にBで指摘した「拠点となる劇場」の整備の方向性にそって、現状分析と課題の整理を進めました。
本論では、まず、なぜBの拠点劇場の育成・整備が必要なのかを論じ、次にそのような拠点となる劇場の必要要件について論じるとともに、@の方向に関連して、Aにも若干触れました。ついで大都市圏の、主に演劇分野の民間劇場の現状とその活性化の課題についてまとめ、最後に、公立、民間といった設置運営する主体にかかわらず、劇場施設という特殊性にかかわる課題を、既存法との関係から整理しました。
*ダイジェスト版および目次は、PDFで、こちらからダウンロードできます。
3「劇場活性化プロジェクトでの検討」(第三次 2003年10月〜04年3月)
2003年、芸団協は「芸能が豊かな社会をつくる」を組織理念とし、芸能をつうじて豊かな社会づくりを進めるための提言を検討することを目指して調査研究プロジェクトを発足させました。そのひとつが、劇場活性化プロジェクト(第三次)です。
劇場活性化プロジェクト委員(第三次)
[南山 華央倫(日本音楽家ユニオン)/田辺 稔((社)日本オーケストラ連盟)/草壁 貞二(日本オペラ団体連盟)/小林 恵美子(東京バレエ協議会)/佐藤 信(演出家)/後藤 武弥(協同組合児童青少年演劇劇団協同組合/劇団うりんこ)/小川 中子 ((社)落語協会)/大野 晃 (日本舞台監督協会)/高木 年治(株o優座劇場)/渡辺 弘(まつもと市民芸術館開場準備室)] 肩書きはいずれも当時
*支援団体関係へのヒアリング(2003.8.1)および地域フォーラムを開催(北九州 2004.1.29, 大阪 3.5, 札幌 3.16)
劇場活性化プロジェクト(第三次)の検討のまとめは、「芸能文化の振興に関する研究:芸能による豊かな社会づくりのためにー提言と具体化への道筋― PartI」に収録されています。
提言1:人々が芸能に触れる場を創出するために
――「劇場」、「アーツセンター」として文化施設が全国で活用されるようにしよう(報告書T p.9ー26)
全文はWebサイトからダウンロードできます。
http://www.geidankyo.or.jp/02shi/pdf/part01/1_03.pdf
検討の概要 新しい価値の創造を行う「劇場」の役割と課題、
地域のビジョンが劇場のあり方を決める
(創造型、提供型、コミュニティ・アーツ・センター型、集会施設型)
地域の責任と、国が拠点劇場の整備に関与する必要性、
専門性を高めるために芸術団体・芸術家との連携(レジデンシー、フランチャイズ)
安全性の確保(舞台技術者の人材育成の課題と運営体制の整備)、
ひらかれた劇場へ:評価の指標、公開情報の標準化、
自律した劇場事業体の確立をめざして法的基盤の整備。
4「舞台技術者の技能とその研修と資格制度についての研究」(2003年度)
芸能関係者のスキルアップ研修教材開発事業の一部として、劇場に従事する専門家のうち舞台技術者の育成にかかわる課題について整理するため、関係諸団体の協力を得て調査研究を行いました。
広範なアンケート調査を踏まえた課題整理の調査研究報告書は、Webサイトからダウンロードできます。
芸能関係者のスキルアップ研修教材開発事業(2)「舞台技術者の技能とその研修と資格制度についての研究」 報告書
その結果、照明、音響、舞台機構などといった職域の違いに関わらず、舞台スタッフとしての共通基盤を形成するための研修事業に対するニーズが高いことが把握され、舞台芸術共通基盤研修の研究(2005年4月〜2008年3月)や、「劇場等演出空間の運用および安全に関するガイドラインの検討」のための劇場等演出空間運用基準協議会発足(2007年1月)の動きへとつながっています。
5「劇場活性化プロジェクトでの検討」(第四次 2008年6月〜09年3月)
これまで芸団協が設置した数次にわたる劇場プロジェクトにおける検討や舞台技術者の人材育成、安全確保にかかわる検討を踏まえて、また「文化芸術の振興に関する基本的な方針」(第二次)を受けて、第四次劇場プロジェクトを設置し、劇場法(仮称)の提言に向けて、地域の拠点の整備を中心に検討を進めた。
劇場活性化プロジェクト(第四次)
[垣内恵美子(政策研究大学院大学)/大月 淳(名古屋大学大学院)/高萩 宏( 東京芸術劇場)/奥山 緑(世田谷パブリックシアター)/渡辺 弘( 彩の国さいたま芸術劇場)/眞野 純(神奈川県芸術劇場開設準備室)/井上 建夫(びわ湖ホール)/鈴木 栄子(りゅーとぴあ)/福島 明夫(日本劇団協議会)/桑原 浩(新日本フィルハーモニー交響楽団)/松木 哲志(日本舞台音響家協会)/白神 久吉(公共劇場舞台技術者連絡会)] 肩書きはいずれも当時
社会の活力と創造的な発展をつくりだす劇場法(仮称)の提言
付:劇場等演出空間の運用及び安全に関するガイドライン
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